第4話:覚悟の契約と、神様がくれた空白の時間
ついに私たちは、大きな賭けに出ました。 融資の最終承認を待たずに、「契約」を締結したのです。

ターゲットは、「駅徒歩3分」物件。
タッチの差で誰かにさらわれるかもしれない。 「ここしかない」と確信していたからこそ、 退路を断つ覚悟で、先に物件を押さえました。
祈るような思いで過ごした数日後――。
無事に届いた、融資承認の知らせ。 先に結んだ契約という「点」と、後から届いた承認という「点」。 ようやく一本の線でつながり、 念願の場所は、正式に私たちのものとなりました。
……しかし、胸をなで下ろしたのも束の間。 本当の戦いは、ここからでした。
当初の工事期間を、大幅に短縮。
希望のオープン日に間に合わせるための、熾烈なスケジュール調整。
しかも時期は4月。 入学式やオリエンテーションで、 大学通りが人で溢れかえる――。 それは同時に、工事を進める上での大きな壁でもありました。
そんな中、迎えた現地打ち合わせの日。 思わぬハプニングが起きます。
A様、工務店さん、そして私が現地に集合。 ところが―― あるはずのキーボックスが、どこにも見当たらない。

急いで連絡すると、鍵が届くのは「1時間半後」。 現場を前にして、立ち往生……。
私たちは急遽、近くの古民家カフェで時間を潰すことにしました。
ですが――。 この「空白の時間」が、 結果として、かけがえのないひとときとなったのです。
「この壁の質感、すごくおしゃれですね」
何気ない一言をきっかけに、 A様が心に描いている空間のイメージが、 手に取るように伝わってきました。
「こんな雰囲気がお好きだったんだ」 そう深く理解できた、幸福な瞬間。

そこから、仕事の枠を少し越えた雑談は尽きることなく、 二人の距離は一気に縮まっていきました。
ハプニングが生んだ、偶然の語らい。 それが、私たちの絆を、より確かなものにしてくれたのです。
深い信頼関係と、 細部まで練り上げた緻密な計画。
最高の準備を整え―― ついに、工事スタートの幕が上がりました。
次回、理想の空間が形に!内装工事の全貌と、感動のオープンへ。
