美容室開業物語:A様編(第1話)|好条件の裏に隠れた違和感と、物件探しのリアル
A様との出会いは12月初旬。
1件目の美容室をオープンされたS様からのご紹介でした。 信頼してくださる方からの「大切なご縁」。今回はまた違う責任感に、いつもより少し緊張した自分がいました。

前回のオーナー様は男性でしたが、今回は女性の美容師さん。お会いした時には、すでに日本政策金融公庫へ開業相談に行かれているほど、熱意と行動力に溢れた方でした。

ご希望は、慣れ親しんだ近隣エリアでの開業。
まずは、ご希望条件に合いそうな物件を私の方で手当たり次第にご提案し、その中から「ありか、なしか」の選別をお願いするところからスタートしました。
対話を重ね、実際に現場を回る中で、A様が求める立地や、肌に合う町の雰囲気というものが少しずつ明確になっていくのを感じます。
お仕事の合間を縫っての物件探し。

タイトなスケジュールの中、短時間で3件のテナントをご案内しました。不動産会社へ鍵を走り取りに行き、制限時間内にすべてを回りきる――まさに時間との戦いでしたが、無事に3件の内覧を終えることができました。
その中の一件、駅近の「3階建て店舗付き住宅」にA様の心が動きました。 1階が店舗、2階と3階が居住スペース。職住近接の理想的なスタイルです。 「2階と3階のリフォームをオーナー様がどこまで歩み寄ってくれるか」 これが運命の分かれ道。すぐに交渉に入りました。
しかし、現実は甘くありません。 担当者となかなか連絡が取れず、ようやく届いた回答は「リフォームは一切せず、現状貸し」という厳しいものでした。
A様には誠実にお伝えし、今回は断念することに。 駅近で1階店舗という好条件ではありましたが、実は最初から少し気になっていたことがありました。それは「周辺の雰囲気」です。駅に近いのに、どこか影があり、どんよりと暗い。
「この直感は、きっと大切にしたほうがいい」

そう気を取り直して再出発しましたが、その後、好条件の物件2件に問い合わせるも、いずれも「昨日決まった」との返答。やはり良い物件は、一瞬の迷いも許されないスピード感で動いています。
理想の場所への道のりは、決して平坦ではありません。 焦りと期待が入り混じる中、私たちが次に出会ったのは――?
(次回、怒涛の契約と決断編へ続きます!)
